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黒いiPodから始まった事件はどこへ向かうのか…。
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タカシの住んでいたマンションの前にパトカーが止めてあり、夜中だというのに人垣が出来ている。
マンションから刑事が出てきた。長身で色白、涼しげな顔をしている。何を見てきたのだろう、大きな目が納得がいかないとつぶやいている。
「おい、さくら」

+ + + + + + + + + +
振り返ると、年配のがっしりした体型の下駄のような顔をした目の小さな刑事がニヤニヤしている。
「おいちゃん、おばちゃんを大切にしろよ」
桜刑事は声を潜め、
「徳さん、勘弁してくださいよ。一般ピーポーがいるんですよ。寅さんごっごはやめましょう」
「いいじゃねぇかよ。俺の楽しみの一つなんだから。で、どうなんだ。おいちゃんは元気か?」
桜刑事はあきれ顔で、徳川刑事の耳元でささやいた。
「ニトロらしいんですが、ドーンと一発、仏ですよ」
「へー…」
徳川刑事は、腑に落ちない顔をした。
「遊びだったのかねぇ」
桜刑事は、人垣を気にし、
「ちょっと、ここ離れましょうか」

近くの公園で並んでブランコに腰掛けている桜と徳川。
「変ですよね」
「ニトロだとしたらな。中はどうだった?」
「ジャストサイズですよ」
「なんだぁ、それ。日本語で話せ、さくら」
「爆発の大きさがあの部屋にぴったりなんですよ。まるで周りに迷惑かけずに自殺したかったみたいに…。あ、いや違うな…」
「どうした」
「周りに少し迷惑かける程度に…。計算違いなのか…」
徳川はブランコをこぎだし、歌う。
「いのーーち みじーかし こいせよ おとめー」
桜は苦笑しながら立ち上がり、現場のほうへ戻ろうとした。気配に立ち止まると、猫が脚にまとわりついてくる。
「おい、おい、やめな。俺は犬派なんだ。猫は苦手でね」
猫は話しかけてくれたことが嬉しいらしく、桜の顔を見て甘え声で鳴いた。
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