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黒いiPodから始まった事件はどこへ向かうのか…。
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「さくらさん、ちょっと待ってくださいよ」
さくらは額に嫌な汗を浮かべつつ、振り返りもせずに早足で歩いていく。
「さくらさん…」
春日は諦め顔で、さくらの後をついていく。
薄暗い通路を抜けて外へ出ると、まぶしく沸騰するかのように暑い日差しが二人を襲う。

+ + + + + + + + + +
さくらは建物から離れ、銀杏並木の木陰で崩れるようにしゃがみこみ、四つんばいになってしまう。
「大丈夫ですか、さくらさん」
「少し待ってくれ」
春日はこんなさくらを見るのは初めてだった。余りにも心細く、さくらの周りをうろうろと歩き回るしかなかった。
あいつなのか…また、あいつなのか…よりによって、彼がいるこの大学で…。さくらは頭がくらくらしていた。顔が青ざめ、呼吸が苦しい。吐きそうだ。酷暑の中、冷や汗が噴き出してくる。このままではだめになる…もう彼には頼れない…俺がやらなきゃいけないんだ…あいつだとしても…俺は刑事だ。体をかろうじて支えていた両腕に力を込め、獣のような叫び声をあげて、全てを振り払うかのように立ち上がると、体が大きく揺れた。
「さ、さくらさん」
全ての視線がさくらに集まっている。さくらは目を閉じて、空を見上げる。強い日差しがまぶたを通してさくらの目を射抜く。大きく深呼吸して目を開けると、まぶしい太陽の横に広がる青く澄み切った空。あの子が大好きだったという青空。俺は刑事として市民を守る。視線をおろすと、今にも泣きそうな春日がいる。
「心配したか、悪かったな」
「どうしたんですか?」
「…なんだか気持ち悪くなっちまったよ。暑気あたりかな…」
「びっくりしましたよ」
「悪かったって言ってるだろ」
さくらは春日の頭をくしゃくしゃとなぜる。
「やめてくださいよ、さくらさん」
春日は、うつむいて泣いている。さくらは春日の肩を優しくたたき、
「そこのベンチに座ろう」
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