ベンチに座るさくらと春日。
「さくらさん、あのおもちゃなんだったんですか？」
「おもちゃ…ああ、あれか。あれはマックのハッピーセットのおもちゃだよ」
「そんなこと分かってますよ。あれが動くとどうなるんですか？」

「楽しいだろうな」
「ふざけないでください！」
「分かった、分かった。皆こっち見てるじゃないか。恥ずかしい奴だな」
「さっきのさくらさんだって…」
「ん？なんだ？」
「何でもありません」
「あのおもちゃに意味はない」
「じゃ、じゃあ、僕は…」
「話を聞け。あのオタッピーがメール見てなんて言ったか聞いてたか」
「あ…聞いてません」
「どっかから見てるのか」
「そうか、あのおもちゃに隠しカメラが仕込まれてたんですね」
「ほんと、お前シンプルだな。本当に東大出たのか？」
「だって、あのおもちゃを見張れって言ったじゃないですか」
「俺がなんで部屋の隅っこにいたと思うんだ。俺が立っていた場所。おもちゃを見張るためにお前が立った場所。あそこに隠しカメラがあったんだ」
「隠しカメラの前に立ってたってことですね」
「そう」
「犯人ですか…って、何の犯人だ？」
「誰が使っているのかは知らないが、オタッピーじゃないことは確かだし、メールは俺たちが来たことと関係がありそうだった。出来るだけ捜査を見せたくなかった」
「言ってくれればいいじゃないですか」
「マイクもあると考えるべきだろ」
「オタッピー…じゃなくて、草刈さんは何か犯罪と関係してるのでしょうか？」
「関係してないことを祈るよ。で、遠藤タカシの机にあったのがこれだ」
さくらはポケットから先ほどのメモ用紙を取り出した。