忍者ブログ
黒いiPodから始まった事件はどこへ向かうのか…。
[10] [9] [8] [7] [6] [5] [4] [3] [2] [1]
スポンサードリンク


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

聖都大学 工学部

正門前で看板を見ているさくら。
「また、ここに来ることになるとはな…」
さくらの横に小柄で若い刑事がいる。刑事になり立てらしく、全てのことが楽しい子犬のように目を輝かせている。

+ + + + + + + + + +
「あれ、さくらさん、聖都大学の出身ですか?」
「いや」
「え…じゃ、事件でここに来たことがあるんですか?」
「まあな」
「殺人事件ですか?」
「お前には関係ない」
さくらは若い刑事の頭をくしゃくしゃとなでる。
「や、やめてくださいよ」
若い刑事は、内ポケットからくしを取り出し、携帯に顔を映して髪型を整える。さくらはそんな後輩の手馴れた姿に苦笑して、大学のほうに目を向け、
「もう、あんな悲しい顔は二度と見たくないな…」
「え、なんですか?」
「だから、お前には関係ないんだよ」
さくらは若い刑事の頭をさらにくしゃくしゃになでようとするが、若い刑事は軽いフットワークで後ろに跳び、満面の笑みを浮かべる。
「いくぞ」
さくらは重い足取りで大学へ入っていく。若い刑事はご主人様においていかれそうになった犬のように慌てて、さくらの横に並ぶ。
「徳川さんの方から何か出ますかね?」
「この事件に親とか関係ないだろ。徳さん、好きなんだよ、親兄弟から聞くの」
「好きなんですか?」
「ああ、趣味悪いだろ」
「そんな、遺族に失礼があったら、どうするんですか」
「大丈夫。相手の気持ちには敏感だし、決して傷つけるようなことはしないから。ただ、映画とかに出てくる人情派刑事をきどってるだけさ。こないだも、聞き込みの後、涙浮かべてるから、『どうしたんですか』って聞いたら、『俺っていい刑事だよなぁ。誰か映画化してくれないかなぁ』って自己陶酔してたよ」
さくらは守衛所の前で止まり、
「研究室の場所聞いて来い」
若い刑事の頭をくしゃくしゃになでた。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
管理人のみ閲覧可能にする    
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール
HN:
愛のままに我がままに
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
フリーエリア
Powered by ニンジャブログ  Designed by ゆきぱんだ
Copyright (c) 『シャッフル』 All Rights Reserved
忍者ブログ / [PR]