聖都大学松田研究室。松田教授とアキラが立ったまま話している。
「私の研究室に入れば、君は大金持ちになれるぞ」
アキラは首を横に振る。
「そうか。残念だな。私にできることがあったら、何でも遠慮なく言っていいよ」
「二つやって欲しいことがある」
松田はひどく喜びながら、「それはよかった。何かな？」
「帝都銀行の人に会わせて欲しい」
松田はがっかりしながら、「向こうも君に会いたいって言ってるから、それはこちらからお願いしたいことだよ。もう一つは？」
「単位を早く揃えて、ペガサスの研究室に行きたい」
「なるほど、さっさと大学を卒業して、矢島先生のとろへ行くってわけだね」
「あんたの講義の単位が欲しい」
「いくら君でも単位をあげる出来ないよ」
「講義にまったく出席できないかもしれないけど、最後のテストだけ受けさせてほしい。その結果で判断してくれ」
「なるほど。効率よく単位を集めていこうってわけか。川西先生と森本先生にも話してみるよ。あの二人も君のファンだからきっと強力してくれる。そうだな、他にも何人か頼んでみるか」
「ありがとうございます」
アキラが松田に深々と頭を下げた。松田はそんなアキラを見て微笑む。
「入学してすぐにテストしてもいいよ」
「勘弁してください。俺、天才じゃないから勉強してからじゃないと」
「そうか、分かった。まあ、頑張ってみなさい」
「はい」
松田が手を差し出し、二人は握手した。

聖都大学ロック研究会の部屋。モニターにはスミレを抱きしめているアキラ。リョウが春日にアキラのことを話している。
「そして彼は一年で単位を集めて大学を卒業し、矢島研に入った」
「すごいな」
「矢島研には何年かいたようだけど、今は川西先生のところにいます」
「川西先生って…」
「人工知能の先生ですよ」
「そうなんだ…」
春日はモニターに映るアキラをじっと見つめる。

スミレはアキラの腕の中で、「アキラ！アキラ！アキラ！ずっと待ってたんだぞ！」と言った後、両手を突っ張ってアキラの腕から離れて一歩下がり、腰に手を当ててアキラを睨みつける。
「遅い！今まで何やってたんだ！守ってくれるって言ったじゃない！」
「お前を守れるように頑張ってるところだ。あと少しだ。もうちょっと待て」
「バカ！いいから近くにいて！」
スミレの目から涙がポロポロ落ちる。
「ライブが終わったら、お説教だから！」
スミレは、アキラに背を向けて、ステージを見る。

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