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黒いiPodから始まった事件はどこへ向かうのか…。
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「し、清水先生。なんなんですか。座ってください」水谷が場を取り繕うとした。
「私は退席します」
「清水先生は彼の入学には反対ということですね」
「いいえ。あれとは関係したくないだけです」
「あれって…」
清水がアキラの方に歩いていく。アキラの前で立ち止まったと思った瞬間、清水の右かかとがアキラの頭の上にあり、それをアキラの左手が支えていた。清水はゆっくりと足をおろした。
「今のは本気ではない」
「そりゃ、そうだろ。遅すぎる」
「二度と私の前にその汚い面を見せるな。クズ」
「黙れ、クソ女」
清水は部屋を出て行った。

+ + + + + + + + + +
「君は清水先生と知り合いなのかね?」水谷がたずねた。
「別に」
「じゃあ、なんで」
「もういいじゃないですか、話を元に戻しましょう」松田が水谷の問いを遮り、「矢島先生は清君を研究室に入れてもいいとお思いですか?」
「私の研究室には常識知らずな学生は不要です。学生は研究室で一番優秀なペガサスをサポートすればよいだけです」
「彼は不要ということですか」
「もちろん不要です。ただし、来たいと願っているものを無下にするのは教育者として心苦しい」
矢島の言葉を聞いて苦笑いしている者が数人いた。
「大学課程を修了して院生として私の試験に合格したら研究室に入れてあげるよ」
アキラはつまらなそうに矢島を見ている。矢島はなんだか自分の言っていることの方が幼稚な気がしてきて、腹立たしくなった。
「以上だ。私も退席する」
立ち上がる矢島に水谷が「では、矢島先生は彼の入学に反対…」といいかけた瞬間、「清水先生と一緒だ。彼とは関係したくない」矢島が怒鳴った。
「約束は守ってくれよ」アキラが投げつけるように言った。
「分かってる」
矢島はアキラの顔も見ずに退席していった。
川西が愉快そうに口を開いた。「面接で退席者が出たのは本学で初のことだろう。しかも、二名とは愉快だ」
「川西先生、ふざけないでください」
「ふざけてなんかいない」川西は両肘を机について組み合わせた手を口元に寄せてじっとアキラを見ながら、「君を不合格にして伝統を守るか…合格にして何かが変わっていくことを期待するか…」

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つぶやいてます。Twitter @inomama2

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