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黒いiPodから始まった事件はどこへ向かうのか…。
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奥から放たれた銃弾を避けるアキラ。弾は大きなゴーグルを外した男の顔の横を飛んで行った。男はパニックになり、階段で下へ降りた。階下から聞こえる爆発音。アキラはマシンガンを撃ちながら奥へ向かって走った。マシンガンの弾で地雷が爆発し、鉄球が飛び交った。奥で真っ黒なボディースーツの男がライフルを持ちながら身をすくめる。すべての罠が破壊され、ライフルを構えようとしたが、もう遅かった。アキラの両膝が男の顎を蹴り上げ、両肘が頭に叩き落とされた。頭が変な向きになり、男は倒れた。アキラはポケットから何か小さなものをいくつか取り出した。
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スミレの瞳が不安に揺れ、両手でしっかりアキラの服の裾を掴む。
「今の俺ではお前を守りきれない。この人について行ってくれ」
スミレは激しく首を横に降る。
「約束する。強くなって、俺がお前を守る。俺はお前を守るための騎士・ナイトだ」
スミレの目から涙がポロポロとこぼれ落ちる。
「お前はもっともっとキレイになれ。お前は俺のお姫様だ」
しゃがむアキラ。スミレが顔をあげてアキラを見た。そこにはアキラの優しい笑顔があった。スミレはアキラにしがみついた。自分のすべての力を込めて。優しく抱きしめるアキラ。スミレはアキラの頬に口づけをして、ジーニーのところへ行った。
「あいつら下で待ち伏せしてるぞ」
「知ってるよ」
アキラは耳につけている通信機を指差した。
「じゃあ、そろそろ行くか」
ジーニーがスミレの手を握った。懸命に涙をこらえようとするスミレ。
「我慢しなくていい。泣いていてもお前はキレイだ」
「アキラ!」
スミレの声と涙を残して、二人は消えた。
「やなこった。なんで、お前の願いを聞く必要がある」
「お父さんから、あなたは生に執着していると聞いてる」
「ああ。この世は楽しいからな。それがどうした」
ジーニーが左胸に手を当てて、不可解な顔をした。
「何かしたのか?」
「さっき、パンチを打ったときに、あなたの体に虫を入れさせてもらった」
「虫!?」
「そいつが、あなたの心臓をゆっくりと食べている」
「ふざけるな!」
「俺のお父さんを誰だと思ってる」
「サトル…」
夜の山中のホテルに響く銃声と叫び声。大きなゴーグルをつけた迷彩服の男二人が殺戮を繰り広げている。二人は次の獲物を探してすれ違いながらハイタッチをする。
「俺は5人だ」
「ちぇ!俺は3人だ」
『デコイは後2体だ。まず、デコイに仕掛けさせるか』
『いや、慌てるな。ターゲットがこちらに来るのを待ち伏せよう』
『じゃあ、いろいろ仕掛けるか』
満月が明るい山中のホテル。アキラはベッドで息を引き取った父親の笑顔をじっと見ている。響く銃撃の音。叫び声。アキラは廊下へ飛び出した。

小学校二年生のスミレが裸足で部屋から走り出してきた。華奢な体に長く美しい黒髪。白のワンピースは破れ、血が飛び散っている。恐怖にかられて走ってきたスミレをアキラが抱きとめた。
「しっかりしろ」
「お父さんが…お父さんが…」
「遅くなって悪かった。お前は俺が守る」
スミレが出てきた部屋から男が出てきた。迷彩のミリタリールックで肩にマシンガンを吊るし、サバイバルナイフを握り締めている。大きなゴーグルをつけていて、ゴーグルの向こうの目は見えない。スミレは声にならない悲鳴をあげて、アキラの後ろに隠れた。
「もう嫌なものは見なくていい。目を閉じてろ」
スミレは目を閉じようとはしない。
「目を閉じないのか?じゃあ、その目に焼き付けておけ。死なずにすむことを確信しろ」
男はサバイバルナイフをしまってマシンガンを構えた。
「子供まで殺せるだなんて!?」
男は甲高い笑い声をあげた。
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