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黒いiPodから始まった事件はどこへ向かうのか…。
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水谷がアキラに質問をした。
「聖都大学に入ったら、何をしたいのかね?」
「勉強」
鳩が豆鉄砲をくらったような水谷の顔を見て、森本が噴き出す。森本を睨む水谷。
「何を勉強したいの」
「まあ、色々と」
怒りに赤くなっていく水谷。森本と松田が必死で笑いをこらえている。
「勉強の目的は」
「神の意志を知りたい」
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聖都大学。『飛び入学面接控え室』と書かれた紙が張ってあるドアの前に立つアキラ。そのドアを開けて中に入ると、クイズチャンピオンの岡部がいた。
「もう一人は君か。面接は二人だけだってさ」
アキラは岡部の話に全く興味を示さず、壁際に立つ。
「物理の試験すごかったね。あんなに早く終わるなんて。満点?それとも、解けない問題は諦めたのかな?」
アキラは何も言わず、岡部をじっと見ている。
「愚問だったね。でも、あれで大場が君に対抗して数学をミスったんだと思うよ。あいつは嫌な奴だけど、本物の数学の天才だ。全国模試では常にトップ。あいつがこの場にいても不思議じゃない」
ドアが開き、岡部が呼ばれた。
「君は本物の天才だよ」
「俺は天才じゃない」
「この僕より努力したって言うのかい?」
岡部は「馬鹿にするな」と言わんばかりの勢いでアキラを睨みつける。静かに見返しているアキラの目を見て、岡部は何故だか恐怖にかられ、部屋を飛び出した。
聖都大学の飛び入学試験室。入室する試験監督たち。その後からすっと入って席についたアキラ。他の受験生は皆すでに席についている。アキラの後の席の大場が小声でアキラに話しかける。
「派手なことしてくれたな。お前の得意が物理だってことは分かったよ。俺には物理なんかどうでもいいんだ。俺は数学の天才だからな」
「そこ、静かにしなさい」
机に伏せるアキラ。試験監督から物理の試験の時と同様の注意事項が述べられ、問題用紙、答案用紙、小冊子が配られる。試験監督の一人、山崎がアキラの席の小冊子をじっと見つめている。
聖都大学の飛び入学試験は前期入学試験と同時に行われ、同じ問題が使われる。ただし、飛び入学試験の科目は二日目の物理と数学のみ。午前、二時間の物理の試験が行われている。静寂の中、解答を書く鉛筆の音がゆるやかに流れる。開始三十分。すっと手が上がる。手を上げたのがアキラと分かり、山崎助教が行こうとしたが、近くを見回っていた重盛助教がアキラの斜め前にしゃがみ、小さな声で話す。
「どうしました?」
「できた。出ていい?」
「開始後一時間は退室できません」
「分かった」
アキラは机に伏せてしまう。アキラの後の席の大場が、そんなアキラをバカにしたような目で見る。
聖都大学前期入学試験当日。受験生たちが次々と門を入っていく、CBTのときの男性職員が門の脇でキョロキョロとしている。男性職員の顔がパッと明るくなる。あの時の少年を見つけて、駆け寄った。
「私だよ。覚えてるかい?」
「ああ、あの時の」
「ありがとう。君のおかげで勉強がはかどってるよ」
「おじさんにやる気があるからだよ。きっと試験通るよ」
少年が門を入っていく。
「頑張れよ!絶対、合格しろよ!」
少年は拳を天に突き上げる。男性職員は少年が受験生の波に飲み込まれた後もしばらくじっと見送り、門を背にしてゆっくりと歩き出した。
「あいつなら大丈夫。俺も頑張るぞ」
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