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黒いiPodから始まった事件はどこへ向かうのか…。
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ユーチューブにアップされていたスティーブの動画をリョウが春日に見せている。
「春日さんの言われるとおり統一感があるんですよ。でも、彼らはこの動画のために練習したわけではない」
「?」
「スティーブが音をコントロールし、彼らを歌わせ踊らせているんですよ」
「そ、そんな…」
「いいですか」
リョウが動画を再生しなおす。
「彼女に注目していてください。彼女が今の踊りに飽きて、踊りを変えようとします」
春日はノートパソコンの画面をジッと見つめる。
「もうすぐです。彼女の動きとオルガンの音」
「あ!」
「分かりましたか」
「ええ。メロディとリズムがすーっと変わって、みんなの踊りも変わっていった」
「今度は彼が好き勝手に歌いだします」
リョウが指さした男が急に歌いだす。
「すごい!まるで練習したかのようにスムーズに変わっていった…。ということは、Sも彼がコントロールしてるんですね」
「それは、ちょっと違うと思います。あの三人はここに映っている彼らと違い自分の音楽を持っている。スティーブでもコントロールできませんよ」
「?」
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リョウと春日がモニターに映るスミレとアキラを見ている。
「何の話をしていたんでしょうね」
「あの二人にしか分からない話ですよ」
「そうですよね。なんだか悔しいなあ。彼と会ってからのスミレ、ほんと可愛いんだよな」
春日の子供っぽい様子にリョウはクスッと笑う。

アキラに背を向けステージを見ているスミレ。
「ちゃんと聴いててよ」
「分かった」
スミレはステージに向かって走り出した。静まり返って二人を見ていた客たちの歓声の中、ステージへと走った。ステージに上がって、マイクを持つスミレ。
「Please enjoy one more play!」
大きな拍手と歓声の渦。スミレはスティーブのところへ行く。
「Love song」
スティーブはとても嬉しそうに弾き出した。
「No」
スティーブが違うメロディーを弾き、スミレが首を横に振る。それが何度も繰り返される。スミレがスピードの方に振り向き、
「Play something」
スピードは甘いメロディーのバラードを弾き出し、スミレにウィンクした。スミレはいたずらっ子を見る母親のような笑顔を浮かべ、フィリーを見てから舞台裏へと消えた。フィリーとスティーブがスピードに合わせて演奏を始める。
聖都大学松田研究室。松田教授とアキラが立ったまま話している。
「私の研究室に入れば、君は大金持ちになれるぞ」
アキラは首を横に振る。
「そうか。残念だな。私にできることがあったら、何でも遠慮なく言っていいよ」
「二つやって欲しいことがある」
松田はひどく喜びながら、「それはよかった。何かな?」
「帝都銀行の人に会わせて欲しい」
松田はがっかりしながら、「向こうも君に会いたいって言ってるから、それはこちらからお願いしたいことだよ。もう一つは?」
「単位を早く揃えて、ペガサスの研究室に行きたい」
「なるほど、さっさと大学を卒業して、矢島先生のとろへ行くってわけだね」
「あんたの講義の単位が欲しい」
「いくら君でも単位をあげる出来ないよ」
「講義にまったく出席できないかもしれないけど、最後のテストだけ受けさせてほしい。その結果で判断してくれ」
「なるほど。効率よく単位を集めていこうってわけか。川西先生と森本先生にも話してみるよ。あの二人も君のファンだからきっと強力してくれる。そうだな、他にも何人か頼んでみるか」
「ありがとうございます」
アキラが松田に深々と頭を下げた。松田はそんなアキラを見て微笑む。
「入学してすぐにテストしてもいいよ」
「勘弁してください。俺、天才じゃないから勉強してからじゃないと」
「そうか、分かった。まあ、頑張ってみなさい」
「はい」
松田が手を差し出し、二人は握手した。
「大学がどうこうなんて、俺には関係ない」アキラが言った。
川西は頷き、「好奇心や探究心に比べれば、伝統なんてゴミのようなものだ。私も退席するよ」
「川西先生も面接を放棄されるんですか!?」
「放棄はしませんよ」川西はアキラの前へ行き、「合格だ。ペガサスのような速さだけの単純バカに頼らないで、私のところへ来なさい。人工知能は面白いぞ」
「速さは力だ」
「なるほど、一理ある」
川西は高笑いしながら退室していった。
「合格です。私も退席します」松田はそう言いながらアキラの前にいき、「私の研究室に入らなくてもいいから、帰りに寄ってくれ。決して損はさせない。松田研究室って言えば分かる」
「分かった。寄るよ」
「待ってるよ」
松田は満面の笑みを浮かべて退室した。
「私の意見も、彼は合格だ」森本も立ち上がって、アキラの前に行った。「私は森本。素粒子理論を研究している。君は物理の美しさを知っている。物理をやらないなんて、もったいないな。物理の美しさに触れたくなったら、私のところへ来なさい」
「ありがとう」
「握手してもいいかな?」
アキラは立ち上がって、森本と握手した。
「水谷先生!三人が合格だと言ってます。すぐに彼を受け入れる研究室が三つあるんですよ。合格でいいでしょ」
森本は水谷に微笑み、退室した。
「し、清水先生。なんなんですか。座ってください」水谷が場を取り繕うとした。
「私は退席します」
「清水先生は彼の入学には反対ということですね」
「いいえ。あれとは関係したくないだけです」
「あれって…」
清水がアキラの方に歩いていく。アキラの前で立ち止まったと思った瞬間、清水の右かかとがアキラの頭の上にあり、それをアキラの左手が支えていた。清水はゆっくりと足をおろした。
「今のは本気ではない」
「そりゃ、そうだろ。遅すぎる」
「二度と私の前にその汚い面を見せるな。クズ」
「黙れ、クソ女」
清水は部屋を出て行った。
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