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黒いiPodから始まった事件はどこへ向かうのか…。
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聖都大学松田研究室。松田教授とアキラが立ったまま話している。
「私の研究室に入れば、君は大金持ちになれるぞ」
アキラは首を横に振る。
「そうか。残念だな。私にできることがあったら、何でも遠慮なく言っていいよ」
「二つやって欲しいことがある」
松田はひどく喜びながら、「それはよかった。何かな?」
「帝都銀行の人に会わせて欲しい」
松田はがっかりしながら、「向こうも君に会いたいって言ってるから、それはこちらからお願いしたいことだよ。もう一つは?」
「単位を早く揃えて、ペガサスの研究室に行きたい」
「なるほど、さっさと大学を卒業して、矢島先生のとろへ行くってわけだね」
「あんたの講義の単位が欲しい」
「いくら君でも単位をあげる出来ないよ」
「講義にまったく出席できないかもしれないけど、最後のテストだけ受けさせてほしい。その結果で判断してくれ」
「なるほど。効率よく単位を集めていこうってわけか。川西先生と森本先生にも話してみるよ。あの二人も君のファンだからきっと強力してくれる。そうだな、他にも何人か頼んでみるか」
「ありがとうございます」
アキラが松田に深々と頭を下げた。松田はそんなアキラを見て微笑む。
「入学してすぐにテストしてもいいよ」
「勘弁してください。俺、天才じゃないから勉強してからじゃないと」
「そうか、分かった。まあ、頑張ってみなさい」
「はい」
松田が手を差し出し、二人は握手した。
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「大学がどうこうなんて、俺には関係ない」アキラが言った。
川西は頷き、「好奇心や探究心に比べれば、伝統なんてゴミのようなものだ。私も退席するよ」
「川西先生も面接を放棄されるんですか!?」
「放棄はしませんよ」川西はアキラの前へ行き、「合格だ。ペガサスのような速さだけの単純バカに頼らないで、私のところへ来なさい。人工知能は面白いぞ」
「速さは力だ」
「なるほど、一理ある」
川西は高笑いしながら退室していった。
「合格です。私も退席します」松田はそう言いながらアキラの前にいき、「私の研究室に入らなくてもいいから、帰りに寄ってくれ。決して損はさせない。松田研究室って言えば分かる」
「分かった。寄るよ」
「待ってるよ」
松田は満面の笑みを浮かべて退室した。
「私の意見も、彼は合格だ」森本も立ち上がって、アキラの前に行った。「私は森本。素粒子理論を研究している。君は物理の美しさを知っている。物理をやらないなんて、もったいないな。物理の美しさに触れたくなったら、私のところへ来なさい」
「ありがとう」
「握手してもいいかな?」
アキラは立ち上がって、森本と握手した。
「水谷先生!三人が合格だと言ってます。すぐに彼を受け入れる研究室が三つあるんですよ。合格でいいでしょ」
森本は水谷に微笑み、退室した。
「し、清水先生。なんなんですか。座ってください」水谷が場を取り繕うとした。
「私は退席します」
「清水先生は彼の入学には反対ということですね」
「いいえ。あれとは関係したくないだけです」
「あれって…」
清水がアキラの方に歩いていく。アキラの前で立ち止まったと思った瞬間、清水の右かかとがアキラの頭の上にあり、それをアキラの左手が支えていた。清水はゆっくりと足をおろした。
「今のは本気ではない」
「そりゃ、そうだろ。遅すぎる」
「二度と私の前にその汚い面を見せるな。クズ」
「黙れ、クソ女」
清水は部屋を出て行った。
水谷がアキラに質問をした。
「聖都大学に入ったら、何をしたいのかね?」
「勉強」
鳩が豆鉄砲をくらったような水谷の顔を見て、森本が噴き出す。森本を睨む水谷。
「何を勉強したいの」
「まあ、色々と」
怒りに赤くなっていく水谷。森本と松田が必死で笑いをこらえている。
「勉強の目的は」
「神の意志を知りたい」
聖都大学。『飛び入学面接控え室』と書かれた紙が張ってあるドアの前に立つアキラ。そのドアを開けて中に入ると、クイズチャンピオンの岡部がいた。
「もう一人は君か。面接は二人だけだってさ」
アキラは岡部の話に全く興味を示さず、壁際に立つ。
「物理の試験すごかったね。あんなに早く終わるなんて。満点?それとも、解けない問題は諦めたのかな?」
アキラは何も言わず、岡部をじっと見ている。
「愚問だったね。でも、あれで大場が君に対抗して数学をミスったんだと思うよ。あいつは嫌な奴だけど、本物の数学の天才だ。全国模試では常にトップ。あいつがこの場にいても不思議じゃない」
ドアが開き、岡部が呼ばれた。
「君は本物の天才だよ」
「俺は天才じゃない」
「この僕より努力したって言うのかい?」
岡部は「馬鹿にするな」と言わんばかりの勢いでアキラを睨みつける。静かに見返しているアキラの目を見て、岡部は何故だか恐怖にかられ、部屋を飛び出した。
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