にほんブログ村
スティーブの力強いソロプレイが続く。スミレはスティーブに向かって微笑み。迫りで下がって行った。ゴスペルは、いつのまにかブルースに変わり、レゲエとなり、最初の子供が弾いているかのような演奏で終わる。大きな拍手と歓声に両手を振って応えるスティーブ。
迫りとともに再び上がってきたスミレ。ヘッドセットマイクを付け、ベースギターをさげている。驚くフィリーとスティーブ。うつむいたままのスピード。ざわつく観客席。
迫りとともに再び上がってきたスミレ。ヘッドセットマイクを付け、ベースギターをさげている。驚くフィリーとスティーブ。うつむいたままのスピード。ざわつく観客席。
+ + + + + + + + + +
スミレは深呼吸し、青空を見上げて何かつぶやき、ベースギターを弾き始めた。女性とは思えない荒々しく力強いベースに大きな歓声と拍手。スピードが顔をあげて、スミレを睨みつける。ニヤニヤしているフィリー。スティーブは不思議そうな顔をしている。フィリーがスティックを上げた瞬間、スピードが手の平をフィリーとスティーブのそれぞれに向かって突き出し、手の平を握り締めて親指を下に突き出す。そして、タイミングをはからず、いきなりギターを弾き始める。スピードの特徴である音の美しさを突き飛ばすかのような荒々しさでベースに襲いかかっていく。正面から受け止めて、激しさを増していくベース。
「素晴らしいストリング対決ですよね」
「私も鳥肌が立って、心臓がドキドキしてたのを憶えてます」
「スピードのギターに対抗できるベーシストがいるとは思っていませんでした。しかも、スピードのこんな近くにいたなんて」
「スミレのベースって、そんなにすごいんですか?」
「スピードの顔、すごかったでしょ。スミレのベースの音がガツンと来たんですよ。一気に血が沸騰する感じだったんだと思いますよ。あれほど興奮するストリングに彼は出会ったことがなかった。ギターと出会った時の胸騒ぎが蘇ったんじゃないでしょうか。スミレのベースの音はオンリーワンです」
「オンリーワン?そんなに個性的なんですか?」
「スティーブが不思議そうな顔をしたのを観ましたか?」
「いえ、見てません。不思議そうな顔をしたのですか?」
「ええ」
「スミレがベースを弾くことに驚いたのですかね」
「スミレがベースを持って現れた時ではなく、弾いた瞬間です」
「…」
「スミレのベースはプロ級です。でも、プロ級のベースは、プロになればいくらでも聞けます。不思議なのはその音。分かりませんか?」
春日はスピーカーから流れるベースの音に耳を凝らして、首を振る。
「スミレが声を出しているのが分かりますか?」
春日はモニターに映し出されているスミレの口元を見る。
「ほんとだ。歌ってる」
「ボイパって、知ってますか?」
「ええ。あの、声でパーカッションの音とか出すやつですよね…まさか、スミレはベースの音をポイパしてるんですか?」
「まさか!違いますよ。ボイパにはボイパ特有の良さがありますが、一流のミュージシャンが演奏する楽器の音とは比べ物になりません。ボイパは人がいろんな音を出せる可能性を示しています。スミレは特別な声をベースに重ねているんですよ」
「特別な声をベースに重ねる?」
リョウが頷く。
「ベースの音に特別な声を重ねてベースの音を強化しています。至難の技ですよ。その結果、彼女のベースはこの世で一つしかない音を出している。その音に気づいて、スティーブは不思議そうな顔をしたんです」
「なるほど。よく気がつきましたね」
「何度もDVDを観たから分かりました。ベースの音については音響工学の研究室に持ち込んで調べてもらいました。スミレの声と分離したのを聞いたのですが、スピードとは比べ物にならないけれども、素晴らしいベースでした。スミレは間違いなく一流のベーシストです。分離したスミレの声も聞きましたが、あれはとても不思議な感じでした。DVDを何度も観ていて、もう一つ気がついたことがあります」
「何ですか?」
「フィリーですよ。スティーブと違って、フィリーはニヤニヤしている。フィリーはスミレのベースに声を重ねるテクニックを知っていたに違いありません。どうやって知ったのか…スミレとの間に何があったのか…」
---------------------------------------
つぶやいてます。Twitter @inomama2
私が書いてるブログです。よろしく!
・愛のままに我がままにブログ
映画等気ままに書いてるメイン・ブログです。
・『シャッフル』
自作の小説です。漆黒のiPodから始まった事件はどこへ向かうのか…。
・『レボリューション・ファイアワークス』
自作の小説です。奴隷階級のハナビが助けた少年はパイロキネシスを持っていた…。
・『レッツ・ダンス』
自作の小説です。ロシア・オリンピック、高橋大選手の金メダルの演技に会場全体が沸く…。
・運動ダイエット
Wii Fit Plusを使ってのダイエットをまとめています。成果出てます!
・Wii Fit ダイエット ブログ
Wii Fit Plusを使ってのダイエットの日々の記録です。
・楽天ポイントを貯めよう
楽天ポイントの獲得履歴とお得情報。
・株式投資入門
趣味でやってる株式投資の経験からこれから始めようという人に向けて書きました。
・株式投資ブログ
趣味でやってる株式投資の日々の取引状況です。
「素晴らしいストリング対決ですよね」
「私も鳥肌が立って、心臓がドキドキしてたのを憶えてます」
「スピードのギターに対抗できるベーシストがいるとは思っていませんでした。しかも、スピードのこんな近くにいたなんて」
「スミレのベースって、そんなにすごいんですか?」
「スピードの顔、すごかったでしょ。スミレのベースの音がガツンと来たんですよ。一気に血が沸騰する感じだったんだと思いますよ。あれほど興奮するストリングに彼は出会ったことがなかった。ギターと出会った時の胸騒ぎが蘇ったんじゃないでしょうか。スミレのベースの音はオンリーワンです」
「オンリーワン?そんなに個性的なんですか?」
「スティーブが不思議そうな顔をしたのを観ましたか?」
「いえ、見てません。不思議そうな顔をしたのですか?」
「ええ」
「スミレがベースを弾くことに驚いたのですかね」
「スミレがベースを持って現れた時ではなく、弾いた瞬間です」
「…」
「スミレのベースはプロ級です。でも、プロ級のベースは、プロになればいくらでも聞けます。不思議なのはその音。分かりませんか?」
春日はスピーカーから流れるベースの音に耳を凝らして、首を振る。
「スミレが声を出しているのが分かりますか?」
春日はモニターに映し出されているスミレの口元を見る。
「ほんとだ。歌ってる」
「ボイパって、知ってますか?」
「ええ。あの、声でパーカッションの音とか出すやつですよね…まさか、スミレはベースの音をポイパしてるんですか?」
「まさか!違いますよ。ボイパにはボイパ特有の良さがありますが、一流のミュージシャンが演奏する楽器の音とは比べ物になりません。ボイパは人がいろんな音を出せる可能性を示しています。スミレは特別な声をベースに重ねているんですよ」
「特別な声をベースに重ねる?」
リョウが頷く。
「ベースの音に特別な声を重ねてベースの音を強化しています。至難の技ですよ。その結果、彼女のベースはこの世で一つしかない音を出している。その音に気づいて、スティーブは不思議そうな顔をしたんです」
「なるほど。よく気がつきましたね」
「何度もDVDを観たから分かりました。ベースの音については音響工学の研究室に持ち込んで調べてもらいました。スミレの声と分離したのを聞いたのですが、スピードとは比べ物にならないけれども、素晴らしいベースでした。スミレは間違いなく一流のベーシストです。分離したスミレの声も聞きましたが、あれはとても不思議な感じでした。DVDを何度も観ていて、もう一つ気がついたことがあります」
「何ですか?」
「フィリーですよ。スティーブと違って、フィリーはニヤニヤしている。フィリーはスミレのベースに声を重ねるテクニックを知っていたに違いありません。どうやって知ったのか…スミレとの間に何があったのか…」
---------------------------------------
つぶやいてます。Twitter @inomama2
私が書いてるブログです。よろしく!
・愛のままに我がままにブログ
映画等気ままに書いてるメイン・ブログです。
・『シャッフル』
自作の小説です。漆黒のiPodから始まった事件はどこへ向かうのか…。
・『レボリューション・ファイアワークス』
自作の小説です。奴隷階級のハナビが助けた少年はパイロキネシスを持っていた…。
・『レッツ・ダンス』
自作の小説です。ロシア・オリンピック、高橋大選手の金メダルの演技に会場全体が沸く…。
・運動ダイエット
Wii Fit Plusを使ってのダイエットをまとめています。成果出てます!
・Wii Fit ダイエット ブログ
Wii Fit Plusを使ってのダイエットの日々の記録です。
・楽天ポイントを貯めよう
楽天ポイントの獲得履歴とお得情報。
・株式投資入門
趣味でやってる株式投資の経験からこれから始めようという人に向けて書きました。
・株式投資ブログ
趣味でやってる株式投資の日々の取引状況です。
PR
この記事にコメントする