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黒いiPodから始まった事件はどこへ向かうのか…。
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スミレがアカベラで歌い始めた。

This is a damn world.
The hatred and sadness flooded.
There is no new world.
I must live in this damn world.
I fly into a rage.

スミレが拳を突き上げると同時に、三人が演奏を始める。強く、激しく、何者にも負けない鋼の意志を持って。
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スミレとスピードのストリング対決が続いている。
「聞いていると、興奮してきませんか?」
「ええ。ギターとか詳しくはないのですが、なんだか、こう、拳を握り締めたくなってきます」
「スピードが自分に欠けていたものを手に入れたからですよ」
「欠けていたもの?」
スティーブの力強いソロプレイが続く。スミレはスティーブに向かって微笑み。迫りで下がって行った。ゴスペルは、いつのまにかブルースに変わり、レゲエとなり、最初の子供が弾いているかのような演奏で終わる。大きな拍手と歓声に両手を振って応えるスティーブ。
迫りとともに再び上がってきたスミレ。ヘッドセットマイクを付け、ベースギターをさげている。驚くフィリーとスティーブ。うつむいたままのスピード。ざわつく観客席。
『S』のジャパン・ライブ。スピードとフィリーによる一曲目の演奏が終わり、ガラガラだった客席は満員になり、興奮に包まれていた。楽しげなスティーブ。スティーブとフィリーはステージ中央をジッと見ている。ステージ中央の床が下がり、上がってきた。一人の少女がマイクを持って立っていた。エアリーな束感のマニッシュなショートボブの黒髪。クラッシュ加工された白のタンクトップの下には真っ赤なシルクのキャミソール。レザーの黒いショートパンツにガンメタリックの黒いハイヒールグラディエーター。少女の顔に笑みはなく、ただ怒りがあった。
リョウが春日にSのジャパン・ライブについて語り始めた。
「なんだか、ぞっとするポスターでしたね」
「深紅のしずくと思っていたのは、血の涙だった。そういえば、春日さんが、あのライブに来たのはどうしてですか?」
「彼女に誘われて行きました。彼女はちょっと変わった子で、僕は振り回されていましたよ。彼女はあのポスターを見て、とても気に入ってました」
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