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黒いiPodから始まった事件はどこへ向かうのか…。
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さくらは『ロック同好会』と書かれたドアをノックした。
「はーい」
ドアを開けたのは、あの日タカシと飲んでいたリョウだった。
「先ほど電話した聖都署のさくらです」
「あ、どうぞ。入ってください」

+ + + + + + + + + +
部屋の中央に大きなスチールテーブルとそれを囲む黒のビニールソファー。部屋の片側にはロッカーとパソコンが置いてある机。反対側に大きな書棚には雑誌や写真集、レコードやCD、DVDがぎっしりと詰まっている。そして、ドアを開けた正面には、色とりどりの紙吹雪の中、青空をバックにマイクを手にしてジャンプしている若い女性の大判の写真があり、その前には花が飾られている。
さくらは放心したようにその写真を見ている。
「あー、スミレだ!」
春日の大きな声でさくらは現実に引き戻された。
春日は写真のそばに寄って、嬉しそうに見ている。
「スミレ、好きですか?」
「ええ。もう、すごいファンだったんですよ。これは、あの文化祭のときの写真ですよね。僕もいたんですよ」
「そうだったんですか。じゃあ、一緒にスミレの歌を聞いてたんだ」
「すごくいい写真ですね」
「一枚いりますか?」
「え!もらえるんですか?是非、是非ください」
リョウは書棚の引き出しからL版の同じ写真を取り出して、春日に渡す。
「ありがとうございます!大事にします!」
「そろそろいいかな」
さくらの顔はいつものように穏やかではなく、厳しかった。
「す、すいません」
さくらは春日にかまわず、リョウに話しかけた。
「あの日の遠藤タカシさんのこと聞かせてもらえますか」
「あ、はい。座ってください」
リョウはさくらと春日が座るのを待って、自分も座り話し始めた。
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