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大男はアキラの前に座り、アキラの目が涙に濡れていることに驚いた。
「どうした、何かあったのか?」
「目にゴミが入ったんだ」
「なんだ、驚かすなよ」
「モモタ、何だか嬉しそうだな」
「銀杏並木のあたりでちっこい女の人がアンケートしてて、それに答えていいものもらったんだよ」
「どうした、何かあったのか?」
「目にゴミが入ったんだ」
「なんだ、驚かすなよ」
「モモタ、何だか嬉しそうだな」
「銀杏並木のあたりでちっこい女の人がアンケートしてて、それに答えていいものもらったんだよ」
+ + + + + + + + + +
「へー、よかったじゃん」
「何だと思う?」
「プロテイン?」
「ばっきゃろー!俺はそんなの飲まないの。この俺の筋肉は鍛錬によって出来上がっているのだ」
「おしゃれなタンクトップ?」
「ふざけんなよ」
「分からない。降参だ」
「は、はー。さすがの天才アキラ君にも分からないことがあるんだ」
「当たり前だろ」
「じゃじゃーん!」
モモタはズボンのポケットに手を入れ、何かを取り出した。それは、まるで血が噴き出したかのようにアキラの目の前に現れた。モモタの手の中には真紅のiPodがあった。手の平から血が湧き出すかのように。
「iPodか」
「いいだろ」
アキラは魅入られたかのように真紅のiPodを見つめていた。
「おい、大丈夫か?」
「あ、ああ、大丈夫だ」
「でさ、メッセージが入ってたんだ」
「メッセージ?」
「ちょっと聴いてみてくれよ」
アキラはモモタからiPodを受け取った。その吸い付くような触感は、手の平の中に入り込んできそうな、手の平を食い尽くすような気持ちの悪い一体感だった。イヤホンをつける。中に入っているのは『プレゼント』というタイトルのもの。再生ボタンを押すと、女性の声が聞こえてきた。
「スペースランナー 10:00 10円 5万株 買い 14:00 30円 売り」
録音されているのはそれだけだった。アキラはパソコンでスペースランナー社の株価チャート、決算資料を調べていく。
「やっぱり、株なのか?」
「ああ。デイトレのお誘いだ。50万用意すれば、150万になるそうだ」
「100万の儲けか…そんなうまい話があるのか?」
「株価を操作してくれるのさ。スペースランナー社の株は今20円と21円を行ったり来たりしている。1日で動くのはせいぜい1円だ。ここ数年で最高に動いたのが5円。しかも出来高が悪い。大量に株を持っている奴が複数口座使えば簡単にできる。しかも、スペースランナー社は経営に問題が見られないから10円で買えればお買い得だよ。10円から30円に上がった後、今の20円より少し上で終わるはず。問題は…」
「問題は?」
「目的は何だ…」
「あれじゃないか。伊達直人みたいに学生支援したい人からのプレゼント」
「株のことをよく知らないお前を選んだ理由は?」
「ラッキーなんだって。アンケートがちょうど最後の100人目だからもらったんだから」
「どんな女だった?」
「ちっこい女だよ。なんだかひょろひょろしてて、筋肉のかけらもなさそうだったな。アイドルってあんなのかな」
「メッセージはその女の声か?」
「ん?…多分そうだ」
「そうか…」
アキラはメッセージをパソコンにコピーして、iPodをモモタに返した。慌しく帰り支度を済まして立ち上がる。
「明日9時にここで」
「おう!」
「何だと思う?」
「プロテイン?」
「ばっきゃろー!俺はそんなの飲まないの。この俺の筋肉は鍛錬によって出来上がっているのだ」
「おしゃれなタンクトップ?」
「ふざけんなよ」
「分からない。降参だ」
「は、はー。さすがの天才アキラ君にも分からないことがあるんだ」
「当たり前だろ」
「じゃじゃーん!」
モモタはズボンのポケットに手を入れ、何かを取り出した。それは、まるで血が噴き出したかのようにアキラの目の前に現れた。モモタの手の中には真紅のiPodがあった。手の平から血が湧き出すかのように。
「iPodか」
「いいだろ」
アキラは魅入られたかのように真紅のiPodを見つめていた。
「おい、大丈夫か?」
「あ、ああ、大丈夫だ」
「でさ、メッセージが入ってたんだ」
「メッセージ?」
「ちょっと聴いてみてくれよ」
アキラはモモタからiPodを受け取った。その吸い付くような触感は、手の平の中に入り込んできそうな、手の平を食い尽くすような気持ちの悪い一体感だった。イヤホンをつける。中に入っているのは『プレゼント』というタイトルのもの。再生ボタンを押すと、女性の声が聞こえてきた。
「スペースランナー 10:00 10円 5万株 買い 14:00 30円 売り」
録音されているのはそれだけだった。アキラはパソコンでスペースランナー社の株価チャート、決算資料を調べていく。
「やっぱり、株なのか?」
「ああ。デイトレのお誘いだ。50万用意すれば、150万になるそうだ」
「100万の儲けか…そんなうまい話があるのか?」
「株価を操作してくれるのさ。スペースランナー社の株は今20円と21円を行ったり来たりしている。1日で動くのはせいぜい1円だ。ここ数年で最高に動いたのが5円。しかも出来高が悪い。大量に株を持っている奴が複数口座使えば簡単にできる。しかも、スペースランナー社は経営に問題が見られないから10円で買えればお買い得だよ。10円から30円に上がった後、今の20円より少し上で終わるはず。問題は…」
「問題は?」
「目的は何だ…」
「あれじゃないか。伊達直人みたいに学生支援したい人からのプレゼント」
「株のことをよく知らないお前を選んだ理由は?」
「ラッキーなんだって。アンケートがちょうど最後の100人目だからもらったんだから」
「どんな女だった?」
「ちっこい女だよ。なんだかひょろひょろしてて、筋肉のかけらもなさそうだったな。アイドルってあんなのかな」
「メッセージはその女の声か?」
「ん?…多分そうだ」
「そうか…」
アキラはメッセージをパソコンにコピーして、iPodをモモタに返した。慌しく帰り支度を済まして立ち上がる。
「明日9時にここで」
「おう!」
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