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「あの日は、タカシに誘われてこの近くで飲んでたんですよ。『まるや』っていう店です。タカシはなんだかひどく機嫌が良くて、二人で他愛もない音楽の話をずっとしてました」
「いつもと違う話とかありませんでしたか?」
「いつものように、新しい曲やミュージシャンの話ばかりでした」
「ひどく機嫌が良かったのはどうしてですか?」
「タカシってけちなところがあるんですが、あの日はおごってくれたんですよ」
「いつもと違う話とかありませんでしたか?」
「いつものように、新しい曲やミュージシャンの話ばかりでした」
「ひどく機嫌が良かったのはどうしてですか?」
「タカシってけちなところがあるんですが、あの日はおごってくれたんですよ」
+ + + + + + + + + +
「大金でも手に入れたんですかね?」
「そうかもしれません」
「何か言ってましたか?」
「いえ。特には」
「鞄に貴重品とか入っているようでしたか?」
「さあ。そんなものが入っている感じは無かったですね。いつも通り、横の椅子に置いてありましたから」
「いい服着てたとか、新しい腕時計してたとか変わったとこありませんでしたか?」
リョウの顔つきが変わったのをさくらは見逃さなかった。
「何か新しいもの、持ってたのですね」
「ええ。iPodを」
「音楽を聴くやつですね」
「ええ。ただ、ちょっと見たこと無いiPodで」
「最新型ということですか?」
「いえ、そうじゃなくて、真っ黒なんですよ」
「真っ黒?」
「ええ。どういえばいいのかな…こう、吸い込まれてしまうようにとにかく黒いんですよ。それにあの手触り…」
「手触り?」
「あ、いや…手触りじゃなくて、持つとなんだか手とひとつになったみたいで、ひどく気味が悪かった」
「なるほど。なんでそんなのを持ってたんですかね?」
「本人はとても気に入ってましたよ…」
「?」
「撫でている様子が薄気味悪かったのを憶えてます」
「どんな曲を聴いてたんですか?」春日が横から聞いた。
「聴かせてくれませんでした。あれはタカシらしくなかったな」
「他には何か新しいものを持ってませんでしたか?」
「僕が見たのはiPodだけです」
「帰られたのは何時ごろですか?」
「12時半ぐらいです。終電間近だったので、僕は走って帰りました。タカシは、大学に寄るって言ってました」
「そうですか。ありがとうございました。何か思い出したらどんなことでもいいのでご連絡ください」
さくらはリョウに名刺を渡した。
春日もリョウに名刺を渡しながら、
「写真ありがとうございました。大事にします」
「何色が好きですか」
「ピンクです」
「レッドって言わないんだ」
「レッドってレコード会社がつけたもので、スミレはピンクを希望してたんですよね」
「さすが、ファンですね」
「あなたのほうは?」
「あのコンサートに関わったこともあったし、ギターやってるもんで、ブラックが好きでしたね。とにかくスピードのギターが凄かった。鳥肌物ですよ。でも、今はホワイトが好きですね。スピードのギターの音がとても綺麗だ」
嬉しそうに頷いている春日の肩にさくらが手を置いて、
「そろそろ行くぞ」
「そうかもしれません」
「何か言ってましたか?」
「いえ。特には」
「鞄に貴重品とか入っているようでしたか?」
「さあ。そんなものが入っている感じは無かったですね。いつも通り、横の椅子に置いてありましたから」
「いい服着てたとか、新しい腕時計してたとか変わったとこありませんでしたか?」
リョウの顔つきが変わったのをさくらは見逃さなかった。
「何か新しいもの、持ってたのですね」
「ええ。iPodを」
「音楽を聴くやつですね」
「ええ。ただ、ちょっと見たこと無いiPodで」
「最新型ということですか?」
「いえ、そうじゃなくて、真っ黒なんですよ」
「真っ黒?」
「ええ。どういえばいいのかな…こう、吸い込まれてしまうようにとにかく黒いんですよ。それにあの手触り…」
「手触り?」
「あ、いや…手触りじゃなくて、持つとなんだか手とひとつになったみたいで、ひどく気味が悪かった」
「なるほど。なんでそんなのを持ってたんですかね?」
「本人はとても気に入ってましたよ…」
「?」
「撫でている様子が薄気味悪かったのを憶えてます」
「どんな曲を聴いてたんですか?」春日が横から聞いた。
「聴かせてくれませんでした。あれはタカシらしくなかったな」
「他には何か新しいものを持ってませんでしたか?」
「僕が見たのはiPodだけです」
「帰られたのは何時ごろですか?」
「12時半ぐらいです。終電間近だったので、僕は走って帰りました。タカシは、大学に寄るって言ってました」
「そうですか。ありがとうございました。何か思い出したらどんなことでもいいのでご連絡ください」
さくらはリョウに名刺を渡した。
春日もリョウに名刺を渡しながら、
「写真ありがとうございました。大事にします」
「何色が好きですか」
「ピンクです」
「レッドって言わないんだ」
「レッドってレコード会社がつけたもので、スミレはピンクを希望してたんですよね」
「さすが、ファンですね」
「あなたのほうは?」
「あのコンサートに関わったこともあったし、ギターやってるもんで、ブラックが好きでしたね。とにかくスピードのギターが凄かった。鳥肌物ですよ。でも、今はホワイトが好きですね。スピードのギターの音がとても綺麗だ」
嬉しそうに頷いている春日の肩にさくらが手を置いて、
「そろそろ行くぞ」
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