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黒いiPodから始まった事件はどこへ向かうのか…。
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さくらが女を追おうとしたその時、
「さくらさん、調べてきましたよ」
さくらは夢のような世界から現実へと引き戻された。春日から視線を戻したが、もう女の姿は見当たらない。俺はまた間違いを犯したんじゃないか…。キャンパスを歩く学生の笑顔が自分をあざ笑っているかのように見える。
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さくらは、ベンチに座って俯いたまま考え事をしていた。かんかんでりの日差しが飲み込まれたかのようにさえぎられる。思わず視線を上げてぎょっとした。襲い掛かられる!熊!?いや、それは大男だった。身長は二メートルを超えているに違いない。鍛え上げられた筋肉の鎧がタンクトップを引きちぎりそうだ。熊というよりはマウンテンゴリラに近い。
さくらは、取り出したメモをしばらく見てから、春日に渡した。
「『酔ってた』ですか?」
「それは俺が書いたやつだ。遠藤タカシが書いたメモの跡があるだろ」
「あ、ああ、これですね」
春日の顔が新しいおもちゃを見つけた子供のように一気に明るくなった。
ベンチに座るさくらと春日。
「さくらさん、あのおもちゃなんだったんですか?」
「おもちゃ…ああ、あれか。あれはマックのハッピーセットのおもちゃだよ」
「そんなこと分かってますよ。あれが動くとどうなるんですか?」
「さくらさん、ちょっと待ってくださいよ」
さくらは額に嫌な汗を浮かべつつ、振り返りもせずに早足で歩いていく。
「さくらさん…」
春日は諦め顔で、さくらの後をついていく。
薄暗い通路を抜けて外へ出ると、まぶしく沸騰するかのように暑い日差しが二人を襲う。
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